2021年 08月 25日(水)11:00
【障害者の可能性が集うこの夏に】NPO法人モンキーマジックは設立16周年を迎えました。
【障害者の可能性が集うこの夏に】
4人の視覚障害者を東京・奥多摩の岩場でスクールにご案内した1日から全てが始まり、本日8月25日をもちまして、NPO法人モンキーマジックは設立16周年を迎えることが出来ました。今日までの長い日々、参加者としてご支援者として、様々な関わりで私共を支えてくださった本当に多くの方々に、心から御礼を申し上げます。
オリンピックに続き、昨日からは続けてパラリンピックが東京での開会式を迎えました。「人間の無限の可能性を感じてもらえることを願う」とは、日本選手団主将を務める、車椅子テニスの国枝慎吾さんの言葉です。この13日間に、マスメディアを通じてこれまで見たことのないほどの頻度で、たくさんの障害者の姿を、多くの方が目にする機会が飛躍的に増えることでしょう。そしてこの機会は、この大会が東京に来ることが決まってから伝えられてきたように、共生社会の実現に向かう日々となることを、私共もとても楽しみにしているところです。そして、クライミングがオリンピックに初めて採用された今年であることも、私共にとっては忘れがたい夏となっています。
パラリンピックやオリンピックという世界最大のスポーツの祭典は、障害の有無を問わずトップアスリートの姿を世の中に示し、多くの人々に感動届けることになると思います。しかし同時にスポーツとは、トップアスリートや頂点を目指す人による、誰かより速いことを目指すための、そして誰かに勝つためのものだけでしょうか。「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことはすべての人々の権利」と、スポーツ基本法の理念でも述べられているように、本来スポーツとは、メディアの向こうで起きているものではなく、すべての人々が豊かな生活を営むために関わるものであるはずです。
クライミングは、オリンピックの競技種目となったスポーツクライミングと同義語ではありません。このスポーツの特性は、運動経験や年齢、性別、そして障害の有無なども問わず、もっと広く多くの多様な人が、自然の岩で、また街中のクライミングジムで日常的に楽しみ、競技種目としてだけでなく、生涯スポーツとして誰もが取り組み、楽しむことの出来るものです。
モンキーマジックでは、設立当初より障害者クライミング普及活動に専従し、人々の可能性を大きく広げること、そして多様性を認め合うことの出来る豊かな社会の実現を目指してきました。クライミングというスポーツが持つ特性を活かし、誰もが共にクライミングを通じて交流できる環境の促進を図ってきました。残念ながら、昨年来のコロナ禍でその広がりの速度は少し鈍化をしてしまいました。しかしパラリンピックの理念でもある共生社会の実現とは、既にこの共に楽しむクライミングの場所で実現しているものであると思います。ひとつ違いがあるとすれば、そこにいる障害者がトップアスリートか、街中で日常的に出会うような障害者が参加していることだと思います。
多くの方がメディアを通じて障害者の姿を目にする特別なこの夏、この先の共生社会の実現に向けて社会がどのように動いてゆくのか、この先の未来が楽しみです。そしてモンキーマジックも、コロナと共に生きるこの時代に改めて、障害者クライミングの普及に努め、トップアスリートだけではない、様々な障害者と一般の方々とがクライミングを通じ交流する機会を増やしてゆきます。このことは画面の向こうではなく、実際に人間の無限の可能性を実体験する機会ともなり、私達なりの新しい時代の共生社会への貢献でもあると考えています。
コロナ禍で私共の事業活動も大きな打撃を受け続けてきました。しかし来年に向けては、いまいちど停滞から発展へと動き、障害者クライミング普及活動の拡大を図ってまいります。ひとりでも多くの障害者に、クライミングの機会を届けるため、全国各地の交流型クライミングイベント再開や、イベント継続地域の発展支援、新規開催都市の開拓、スクールや体験会の開催、講演会やイベントなど各事業を発展、そして豊かにしてまいります。
17年目を歩みはじめたNPO法人モンキーマジック、私達はこれからも障害者クライミング普及活動を通じ、より豊かな社会を創ります。みなさまどうかこれからも、ご指導ご支援、そしてご参加、どうぞ引き続きよろしくお願い申し上げます。
2021年8月25日
NPO法人モンキーマジック 代表理事
小林 幸一郎
【活動の様子】